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●乙女歌謡

ミュージック・ジャーナル

2月18日、等々力にある「巣巣」さんで、~ミュージック・ジャーナル vol.2 「松本隆 ソングブック」~というイベントを、ミュージシャンのHARCOさんとともに開催いたします。昨年の9月にvol.1を開催したのですが、そちらが楽しく、好評でもあったので、今回は「松本隆さん作詞の歌のみに限定して、歌とおはなしをおこないます。

 

イベント自体を前半と後半ではなく、A面/B面と区切り、私が女性視点で選んだ歌をA面、HARCOさんが男性視点で選んだ歌をB面で聴いていただく予定です。すでに私は、候補の10曲をHARCOさんにお伝えしているのですが、どんな歌が勢揃いするか私も今からとても楽しみ。

きちんと統計できているわけではありませんが、これまで私が紹介してきた「乙女歌謡」約200曲の、3分の1は、松本隆さんが作詞された歌ではないかと思うほど。松本隆さんがいらっしゃったから、子どもだった私は「歌謡曲」にひかれ、言葉や感情を覚えていきました。

音楽好きの方にとっては、言わずと知れたことですが、松本隆さんは作詞家として活躍される前、細野晴臣さん、大滝詠一さん、鈴木茂さんの4人で「はっぴいえんど」を結成されていました。そして解散後、南佳考、あがた森魚さんのアルバムをプロデュースし、アグネス・チャン「ポケットいっぱいの秘密」、太田裕美「木綿のハンカチーフ」で作詞家としての人気を確立。その後、松田聖子さんはじめ、数々のアイドルに歌詞を提供しています。

今回、私が候補にあげている10曲中、7曲が女性が歌う歌で、残り3曲が男性です。このコーナーは「乙女歌謡」というタイトルですが、「乙女歌謡」の神さまのような松本隆さんが作詞された中でも、私が一番好きな、男性の歌をご紹介させていただこうと思います。

それは、はっぴいえんどの「朝」という冬の歌。今まで、いろいろなことから顔をそむけてひとりで生きてきた男性に、ともに朝を迎える女性が現れる。すぐ隣で眠る人を通じて、少しずつ優しさや穏やかな日常、あたりまえの幸せが、自分のものになっていく。短い歌詞の中にそれほど多くは語られていないけれど、ふたりの朝の風景が映画の一場面のように浮かんできます。大きな出会いも別れも描かれてはいないけれど、何気ない日常こそドラマチックであることを感じることができて、聴くたびに穏やかな気持ちになります。

ミュージック・ジャーナルは、「乙女歌謡」を基本に、これからもいろいろな音楽家の方と組んで、全国各地でイベントを開催できればと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。

■ミュージック・ジャーナル vol.2 「松本隆 ソングブック」
出演:音楽/HARCO トーク&MC/甲斐みのり
日時:2012年2月18日(土) 18時30分開場 19時開演
会場:巣巣/東京都世田谷区等々力8-11-3 1F
電話 03-5760-7020
料金:3800円(dans la natureのお菓子、ドリンク付き)
企画協力:ミルブックス
http://www.susu.co.jp/news/p869.html

甲斐みのり

文筆家。1976年静岡生まれ。旅・お菓子・各地の食材・クラシックホテルや文化財の温泉宿などを主な題材に、女性が憧れ好むものについて書き綴る。http://www.loule.net/