333DISCS PRESS
●パリの街角から
●冬の足音
こんにちは、フルール ド クールの阿部桂太郎でございます。
皆さま、いかがお過ごしでしょうか。
秋も深まって、ここパリの街も朝晩は冷え込みが強くなってきました。
さて今日は、パリの街で冬の訪れを感じさせるものについてお話したいと思います。
季節の移り変わりの感じ方は人によっても様々だと思いますが、今日は私くしが「あ~、冬だな~」と感じることについて、3つご紹介したいと思います。
まず1つめは、枯れ木になったマロニエの木です。我が家の近くにはリュクサンブール公園と呼ばれる大きな公園があります。そして時々、娘と一緒にその公園をお散歩します。そんな時、公園の中にあるマロニエの木の葉がすべて落ち、枯れ木の梢を冷たい風が揺らしているのを見ると、「あ~、冬だな~」と感じます。さらに、噴水や池に薄氷でも張ることがあれば、冬の訪れは、もう決定的となります。
続いて2つめは、薪の燃える匂いです。パリのアパルトマンには、昔から暖炉のあるお部屋が少なくありません。そして朝晩の冷え込むこの時期になると、暖炉に薪をくべて暖を取るお宅が今もあります。そんな、薪の燃える匂いがどこからともなく漂ってくると、「あ~、冬だな~」と感じます。さらにこの季節、街中にある荒物屋さん(家庭用の雑貨類を売るお店)の前には、暖炉にくべるための薪が山積みになって売られていて、それを目にすることで冬の訪れを感じることもできます。なお、薪が燃える匂い…などと言うと、どこか田舎の風情のようにも思いますが、フランスの首都であるこの街は、今もそんな一面を持っているのです。
そして3つめは、店先に並ぶ牡蠣屋さんです。パリには牡蠣専門のレストランや魚介類に力を入れているレストランがあり、一年中、牡蠣を食べることができます。しかし、牡蠣が一番美味しくなるのは、やはり寒い季節です。この時期、近所のカフェの店先に「金曜日は牡蠣の日」なんて書かれた垂れ幕が下がり、当日になると店先に小さな牡蠣屋さんが立ち、大小さまざまな生牡蠣が並びます。そして、その場で殻を剥いてもらってカフェの店内で食べることもできますし、買って帰って自宅で食べることもできます。さらに、近所の酒屋さんの前にも牡蠣屋さんが立つことがあります。僕は普段、赤ワインを好んで飲みますが、酒屋さんにワインを買いに行った時、お店の前に牡蠣屋さんが立っているのを見ると、急きょ予定(?)を変更し、白ワインと生牡蠣を買って帰ることがあります。そして自宅までの道すがら、鼻歌交じりに「あ~、冬だな~」なんて思ったりするのです。
以上、今日は、パリの街で冬の訪れを感じさせるものについて、少しだけお話をいたしました。
阿部桂太郎
1965年8月22日生まれ。新潟県小千谷市出身。2003年よりフランス、パリ在住。インターネットショップ「フルール ド クール」を営む。好きなことは、旅をすること、食べること、温泉に入ること。