333DISCS PRESS
●パリの街角から
「パリの幼稚園」
■こんにちは、フルール ド クールの阿部桂太郎でございます。皆様、いかがお過ごしでしょうか。さて今回は、娘の通う幼稚園の様子についてお話したいと思います。
我が家の娘は3歳。昨年の秋から幼稚園に通い始めました。なお本当は公立の幼稚園に入れたかったのですが、私達家族の住むパリの5区ではどこの幼稚園も満員で、やむなく私立の幼稚園に入れることにしました。
始業は朝9時。そのため、朝8時半から9時までの間に登園することになっています。また、その30分間しか入り口の門は開かず(暗証番号を入力して開門)、それ以前も、それ以後も、基本的に門は閉ざされてしまいます(夕方の終業時間まで)。さらに、9時の始業であっても、時間ぎりぎりに登園しないようにと先生から言われています。理由は、時間にゆとりをもち、落ち着いた気持ちで、始業の時間を迎えて欲しいからとのこと。
なお、毎朝僕が娘を幼稚園まで送って行きますが、登園してくる子ども達を見るのはなかなか楽しいもの。小さな自転車に乗ってくる子やトロティネット(trottinette:キックボード)を蹴りながらくる子、お父さんの運転する大型オートバイに跨ってくる子に、ベビーカーに揺られてくる子など、実に様々です。また、我が家だけでなく、お父さんに送られてくる子どもが多いのにも驚きです。
お昼ご飯は幼稚園で準備され、皆んなで一緒に食べているようです。幼稚園の玄関を入ったところに小さな黒板があり、そこに月曜日から金曜日までの献立が記されています。また、お昼ご飯を食べる前にも心を落ち着かせ、皆で手をつないで「いただきます」の歌を歌うようです。そのため現在は、自宅で朝ご飯や夕ご飯を食べる前にも、家族三人で手をつないで「いただきます」の歌を歌っています。
夕方は、終業時間に退園することも、また、午後6時までの延長保育をお願いすることもできます。我が家の娘は毎日延長保育をお願いしているので、午後6時までに迎えに行くようにしています。なお、先日、娘を迎えに行った時のこと。僕の姿を見た途端に泣かれてしまったことがありました…。「何か嫌なことでもあったのかな?」と本人に尋ねてみたところ、「これから皆んなと一緒にダンスを踊るところだったの~。踊ってから帰りたい~(泣)」との返事。思わず、笑ってしまいました。
また、幼稚園にいる間はフランス語を話すため、語彙も発音も理解力も、僕よりずっと上手くなっている彼女。現在では、「ねっ、○○したい時はフランス語で何て言うの?」と、僕の方が教えてもらっています。さらに、最近トイレも一人で用を足すことができるようになった彼女。「ねっ、おしっこに行く時は何ていうの?」と聞いたら、「ジュ フェ ピピ(Je fais pipi:おしっこをする)」。「じゃ、おもらししちゃった時は?」と聞いたら、「セ パ グラーヴ!(C’est pas grave!:気にしな~い!)」だって。
阿部桂太郎
1965年8月22日生まれ。新潟県小千谷市出身。2003年よりフランス、パリ在住。インターネットショップ「フルール ド クール」を営む。好きなことは、旅をすること、食べること、温泉に入ること。
●西荻の街角から〜トウキョウエコノミー
「拝啓 C・F・W・ニコルさまへ」
文責:三品輝起
■本コーナーでは、わざわざ普段の仕事で書いてるようなカッチカチな話もアレだし、といって震災と関係ないユルユルなことを書く気にもなれない。また震災情報という点からいえば、おそらくインターネットで情報収集にいそしむ方々や、お茶の間ワイドショーにがっぷり四つの方々(ぼくの親とか)のほうがよっぽど詳しい。
てなわけで、震災の復興に向けた経済学者らによる議論の中で(注1)、比較的わかりやすくて、かつ、まだあまり知られていない、「キャッシュ・フォー・ワーク(Cash for Work=以下CFW)」という提案をさくっと紹介してみたい(注2)。
■まずCFWは「労働対価による支援」と訳されたりする。つまり「被災者みずから」に復興事業に従事してもらい、賃金を支払うことで一時的な雇用にもなる、という考えだ。途上国の復興援助ではかなり一般化してるので、平時からそっち系に興味があった人は知ってるかも。
以下、具体的なCFW案を、震災初期から提唱をしてきた永松伸吾さん(関西大学社会安全学部・准教授)の議論を参考に、簡単に説明していく。
目的は2つあって、「被災者に一時的な雇用機会を確保し、最低限の収入を維持しながら、地域経済の自立的な復興を支援すること」。あと「被災者自身が自らの地域の復興に直接関わることによって、被災者に尊厳と将来への希望を取り戻し、地域の絆を高めること」(注3)。
んじゃ、どんな仕事をやるの? 具体的には、自宅周辺のがれきの片付け、建造物の復旧、遺留品の回収と返品。被災者台帳の作成、コールセンター、仮設住宅の見回り、給食配送なんかがある。変わったものだと、震災の学術調査の補佐や、支援系のNGOに対する食事や宿泊の提供、といったものまで考案されてる。ただ1点だけ、重要な但し書きがあって、それは「雇用のために無理矢理創出された仕事であってはならない」ってこと。
じゃあ、いくらくれるの? CFWの賃金にも重要なポイントが1つある。賃金が「既存の産業と労働市場において競合することがあってはならない」というものだ。CFWが、市場の復興経済に悪影響を与えることだけは避けなくちゃならない。よって永松さんは賃金水準を、同一労働の3割ぐらい低めに設定するのが好ましい、としている。そうすることで、勤め先がどうしても見つからない人にだけ雇用を提供できる。
■とりあえず、ほんのさわりの部分だけ書いてみた、んで読み返してみたが、うーんこれ興味ないかもなー。合コンなんかで語ってたらヤバいもんなー、というか誘われたことないけど。まあいい、そろそろ終わります。
CFWを机上から現実に移していくには、法的整備を含め国レベルでの政策でなくちゃならない。その下にCFWセンターのようなものを作って、労働受給を効率的にマッチングするのも、容易なことじゃない。むろん、これはたくさんある復興案の、小さなアイディアの1つに過ぎないわけだけど、ぼくはひろーい可能性を感じてて、勉強会やら提言のフォローにいそしんでる。余震に揺れる東京23区の端っこで。
■さーて……所変わって、深夜のお店。パソコンの光に照らされ、ひとり物思いに耽っている。「人間だもの CWニコル」と検索バーに入れたりしながら、一介のお店にできることはあまりに小さいなーってしみじみ思う。けどまあ、自分の頭で考えて、黙って行動していくつもりよ。んでは。ナっ、シュレダノウー!
三品輝起(みしなてるおき)
79年生まれ、愛媛県出身。05年より西荻窪にて器と雑貨の店「FALL (フォール)」を経営。また経済誌、その他でライター業もしている。音楽活動では『PENGUIN CAFE ORCHESTRA -tribute-』(commmons × 333DISCS) などに参加。
【tico moon】
■2008年に『Raspberry』を発売してから、あっという間に3年。長い期間が掛かりましたが、結成してからちょうど10周年を迎える今年、新しいアルバムを発売出来ることになりました。アルバム制作に取り掛かれるとても嬉しい気持ちと、自分の気に入る演奏がどれだけできるのかなという不安な気持ちと、色々な気持ちを持ちながら、合計5日間、時間にすると計70時間位、気を引き締めて演奏し続けました。今回お世話になったスタジオ「PASTORAL SOUND」さんの居心地がとても良かったこと、エンジニアの井野さんの音作りがとても素晴らしかったこと、プロデューサーのゴローさんがいつも優しい笑顔でいてくれたこと、333DISCSの葉子さんがおいしい差し入れを色々と持ってきてくれたこと、などなどたくさんの事にいい影響を受けて、集中力を持って演奏することができました。後から聴いた時に、いい演奏ができたなと思える音がきちんと残っているという事はとても幸せなこと。そんな自分たちが幸せに思えるアルバムが出来上がりました。
『Daydream Garden』と名付けた新しいアルバム。自分の好きな庭園をイメージしながら聴いて下さったら嬉しいです。今回のアルバム作りに関わって下さったみなさま、楽しく大切な時間を下さる周りのみなさま、そしていつもティコムーンの音楽を聴いて下さっている全てのみなさまに感謝です!(tico moon/吉野友加)
■4月23日、24日と、2年4ヶ月振りに福岡でライブがありました。今回は「天神ウェルカム音楽祭」でのフリーライブ、アトリエ穂音さん、カフェとねりこさんでのそれぞれのライブ、そして間にLOVE FMさんでのゲスト出演と、盛り沢山な内容でした。
楽器の運搬のために東京からは新幹線での移動、5時間半ののんびりした旅を満喫して福岡に降り立つと、すぐに最初の会場の天神ソラリアプラザへ移動です。会場は吹き抜けが気持ち良いとても広いステージで、演奏が始まると沢山の方が立ち止まって耳を傾けてくださいました。演奏時間は30分と長くはありませんでしたが、一気に博多の空気に自分が馴染んで行くのがわかりました。
その後すぐに夜のライブ会場のアトリエ穂音さんへ移動。アトリエ穂音さんは、冷泉壮という旧いアパートを改装したギャラリーやカフェ等が集まる集合スペースの一角にあるのですが、その冷泉壮が隠れ家的なとても素敵なスペースで、夜のライブが益々楽しみになってきました。リハーサルが終わるとちょっと腹ごしらえ。博多の人はおやつ感覚で食べるという博多ラーメン(何と290円!)。さっそく博多の味覚を楽しみました。アトリエ穂音さんでの演奏は、会場の素敵な雰囲気と響きに共鳴しながら、沢山の方に聴いていただけました。
翌日はまず昼間のラジオ出演からスタート。慣れないながらもLOVE FMのスタッフの方々の優しさに助けられながら精一杯話して来ました。夜のライブ会場のとねりこさんは、けやき通りという緑のきれいな通りを少し入ったところにありました。トンネルの様な不思議なエントランスを抜けると、そこに広がるのはまるでどこかヨーロッパの田舎にでも迷い込んだかの様な素敵なカフェでした。ゆったりと流れる時間に身を任せていたら、あっという間に開演の時間です。ライトアップされた素敵な庭をバックに、気持ち良く演奏させていただきました。終演後の打ち上げは皆でカレー!、楽しい夕げでした。
久しぶりの福岡でのライブは、沢山の方に聴いていただけて本当に嬉しかったです!ありがとうございました。また今回のライブでは沢山の方々にお世話になりました。皆様の助けが無くてはこんなに楽しく演奏させていただく事はできませんでした。本当にありがとうございました!(tico moon/影山敏彦)
「2011年の抱負」
今号より、グラフィックデザイナーの葉田いづみさんに参加していただくことになりました。新連載『国立の街角から』、どうぞお楽しみ下さい。また、『チナボンボンブック』はしばらく休載となります。本年も333DISCS PRESSをご愛読いただけたら嬉しいです。
【naomi】昨年は冬場に風邪をひいてしまい、皆様にご迷惑をおかけしました。今年は冬場に風邪をひかないように、全力でがんばりたいです。
【goro】今年もアルバム制作が幾つかありますが、基本的には心の充電期間?というか仕事をしつつも色々と蓄える年かな
【tico moon 影山敏彦】今年はtico moon結成10周年なので、アルバムをリリースできたらと思っています!
【tico moon 吉野友加】ティコムーンを結成してから10年目の年なので、今まで支えて下さった方々へ感謝の気持ちをお返しできる様に、そして11年目へと長く繋がっていく事ができる様に、毎日を大切に過ごしたいと思います!
【青芝和行】今年こそマラソン大会に出場、まずはハーフで。
【甲斐みのり】料理を楽しむこと。それから7月に京都で企画展が決まっているので言葉の創作などもしたいです。
【FALL 三品輝起】正月の紅白にて、トイレの神様(的な、なにか)と戦う決意をしました! が、だいぶ忘れてきました。
【fleur de coeur 阿部桂太郎】「ゆっくり行く者が、一番遠くまで行く」。世の中が目まぐるしく変り、また、何かにつけてスピードが求められる現代ではありますが、今年はちょっと気持ちを落ち着かせて、ゆっくりと一歩ずつ進んで行きたいと思っています。
【葉田いづみ】もう少し、丁寧に。
「あなたの好きな電車の路線は?」
【naomi】フランス、マルセイユからスペイン、バルセロナ方面に行く海岸線の途中、カマルグ辺りでしょうか?線路はラグーンの上を通ります。若いうちにぜひ!
【goro】昔はのんびりと井の頭線に(久我山のおばちゃんの家に居候してたときは)乗ってるのが好きでしたが、今はそんなのんびりした電車じゃないよね、路線ってことで言えば縦のライン、家の近所で言えば南武線、武蔵野線、西武国分寺線、西武多摩湖線、西武多摩川線、などネーミングも含めて気になります。散歩してみます!
【tico moon 影山敏彦】東急世田谷線
【tico moon 吉野友加】都電荒川線
【青芝和行】江の電の腰越駅の手前、路面電車状態から海に抜ける辺り、ワクワクしますね。
【甲斐みのり】とても普通の答えですが、東海道新幹線、とても好きです。新幹線から、地元の富士山を見ることが。京都、京阪電車の「テレビカー」も好きです。
【FALL 三品輝起】伊予鉄道・横河原線(もしくは高浜線)
【fleur de coeur 阿部桂太郎】1つめは「フランス国鉄、南仏マルセイユ(Marseille)- ミラマ(Miramas)線」。車窓に広がる真っ青な地中海を眺めながら、ガタン、ゴトンとのんびり走ります。また、時折聞こえるジッ、ジッ、ジッという蝉の声も最高!2つめは「JR東日本の飯山線」。ここは童謡「ふるさと」が生まれたところ。まさに日本の原風景であり、日本人の心の故郷。どの季節に訪れても本当に素晴らしい!
【葉田いづみ】丸の内線が、御茶ノ水駅付近で外に出る瞬間。