333DISCS PRESS
●乙女歌謡
こんにちは。甲斐みのりです。
これまで333DISCSさんのラジオや「チャンネル三輪舍」では、女性ボーカルの日本語の曲に限定して、女性なら誰もが通過する、少女から大人に変化していく多感なときが歌われた歌や、おしゃれ心が揺り動かされる曲をご紹介してきましたが、これから333DISCS PRESSでは、日本語に限らず私が10代の頃に夢中になっていた、愛らしい歌をご紹介していこうと思います。
昔はよく、フランスの歌にでたらめに日本語の詞をつけたりして遊んでいたので、今、日本語の歌詞をつけてみたいものを選んでみることに。
■LIO「Mona Lisa」
http://www.youtube.com/watch?v=yyjVikeJFGA
この歌、1982年に発売されたLIOの2枚目のアルバム「Suite Sixtine」に入っています。
本当はどんな内容の歌詞なのか分からないのをいいことに、当時の私がつけていたのは、モナリザに恋する男の子を好きになってしまった女の子が、モナリザみたいになりたいわと毎日、神さまにお祈りするもの。
「Suite Sixtine」のジャケットはチュチュ姿のLIO。ゲンスブールによる曲「baby lou」も入っていたりで、大好きな1枚でした。「Mona Lisa」のPVも、とってもかわらしいんです。
女性が歌う日本語の曲の「乙女歌謡」は、「チャンネル三輪舍」でもご紹介させていただいているのでぜひご覧になってください。
甲斐みのり
文筆家。1976年静岡生まれ。旅・お菓子・各地の食材・クラシックホテルや文化財の温泉宿などを主な題材に、女性が憧れ好むものについて書き綴る。
http://www.loule.net/
●チナボンボンブック
こんにちは!チナボンこと正山千夏です。
「本はこころの旅」ということで、私の永遠のテーマ「旅」に関する2冊を今回はご紹介したいと思います。
椎名誠さんの奥様、渡辺一枝さんがチベットのチャンタン高原を5か月かけて馬で旅した記録。
なんと言っても文章がよいのです。旅の様子はもちろんですが、そこここに挟み込まれる母としての家族への想いや娘への想い。
淡々と綴られているのですが、なぜかこころに沁み入ります。この文章のタイム感はそう、飛行機や自動車の速度ではなく、馬でもっとのんびりゆっくり、あたりのすべてを感じながら旅をしたい、とこの旅に踏み切った一枝さんのきめ細やかな感性のタイム感とまさにシンクロしているのだと思います。
長い旅の間、一枝さんはだんだんとチベット人に近づいていっているかのよう。文章もそれにつれてどんどん研ぎ澄まされ美しくなっていって、最後の方の馬や花や草原の描写の洗練具合には、自動車の速度では決して感じることのないだろう感動で胸がいっぱいになりました!
こうした馬の旅は、チベット人でさえもこれまで誰もしたことがないそうで、それをさらに女性である一枝さんが成し遂げたというのだから驚きです。
チベットの旅とこころの旅。この2つが味わえるとても素敵な本。かなり長編なので、ぜひ文庫本でゲットして(単行本だと大きくて重い…)のんびりと楽しんでもらいたいです。
先日「チャンネル三輪舎」でもご紹介した本ですが、あらためてこちらでご紹介させていただきたいと思います。
私が旅をすると必ず行ってしまうのは、実は美術館でもなく世界遺産でもなく市場なのでした。市場に行くとその土地の食卓が見える、生活が見える、人が見える!その国を手っ取り早く知ろうと思ったらまずは市場へ。
ということで、この本は世界約70カ国の市場という市場を網羅した松岡絵里さんと吉田友和夫妻の本。まず目を見張るのはカラフルな野菜や肉、おいしそうな屋台料理、かわいい雑貨など盛りだくさんの写真たち!そして、行ってみなければわからない解説やコラムが満載です。パリのマルシェなど女性向けのオシャレな市場から、南米の魔女市場や泥棒市場、はてはマサイ族のマーケットまで。世界にはこんなにたくさんの種類の市場があったのかと驚かされます。
旅をする人のよきガイドブックになることはもちろんですが、まだ行ったことのない国の市場の風景やコラムを眺めているだけで、なんだかとてもワクワクしてきます。
松岡さんと吉田さんは、結婚を機に2人揃って寿退社し、ハネムーンで607日間に及ぶ世界一周の旅を敢行!その体験をベースに「してみたい!世界一周」を出版。その後も彼らの旅熱は留まるところを知りません。
チナボン
バンドsugar plantのヴォーカル&ベース、正山千夏のソロユニット。2005年伊藤ゴロー氏のプロデュースで「in the garden」(333DISCS)をリリース。1994年詩集「忘却セッケン」で第10回早稲田文学新人賞受賞。
http://blog.livedoor.jp/cinnabom/
●西荻の街角から〜トウキョウエコノミー:すばらしき簡潔な世界
「実際上のCDSの取引は、そのようなリスクの有無とは原則的に関係がない。リスクのプロテクションそのものが市場を形成し、無関係の第三者によって自由に売買されるマネーゲームであるということに、その商品としての本質がある」(『知恵蔵』朝日新聞社「クレジット・デフォルト・スワップ」より)
■はじめに
今回はサブプライムな世の中を理解するための最初の一歩の話。
先ごろ引越をしたんだけど、そんとき大家と不動産屋のあいだに、家賃保証会社というのが入っていることに気づく。あーこんなところまで世の中複雑になっとるがなと思った。何度も説明を聞いたあと、気分転換に携帯の機種を変えに代理店へ行く。手続きも終わりに近づいたとき、レディは笑顔でぶっとい資料を持ちだし、料金プランの説明をはじめた。えーっ何個プランあんねん! 複雑怪奇な。勝手に決めてください。やっと支払いをしようと財布をあけると、提携が入り組みまくったクレジットカード、ポイントカード、キャッシュカード……。
ふー。いったいこれらの仕組みを誰が正確に把握しているんだろう。もうよくわからない、けどみんな使っている。そういうものに覆われて我々は暮らしている。
そもそも「ほんま知らん間に複雑になっとるがな!」という戦慄を味わったのは、あのサブプライムショックだった。
■世界はシンプルか複雑か
世界を旅して気功をやっている地元の自称DJは、よくぼくに「世界はシンプルだ」と言う。しつこく。「おまえはややこしく考え過ぎだ」と。確かに。そりゃお前やお前の飼ってる犬にとって世界はシンプルだろう。おれなんて何の特にもならない抽象概念でお手玉してるピエロみたいなもんやね。でもだって(言わせて下さい)。人間だもの(みつを)。と心のなかで叫んで、いつも笑顔で受け止めておく。
先日そんな自称DJが上京してきたので飲み屋に行った。夜半近く、ベロベロに酔っ払った自称DJがテレビに映る天気図を見て「最近のアイツの予報は当たらない」だのなんだの、ボロクソ言っている。そのうえ周りの知らんオッサンまで賛同してきた。おそらくアイツというのは気象衛星「ひまわり6号」ことだろう。かわいそうに。
よく考えてみてほしい、ひまわり君は(自称DJのDJ技術よりも)相当高度な技術で地球の静止軌道上に浮かんでる(引力と遠心力が釣りあう超高速で、地球の自転にあわせ飛んでいる。なので、地上からは静止しているかのように見えている)。赤道上空、36,000キロを今もなお。すごいことだ。でも、もう誰も驚かない。思考はそのメカニズムにまでは届かず、表層だけをみな見ている。ベロベロになって。
おそらく身のまわりの大半が得体の知れないものだらけになってる。でも気にせず生きている、いや気にしないんじゃなくて、世界が複雑すぎてエポケーになっている証拠なんじゃないかしら。このエポケーと社会の不安に何か関係があるかもしれない。
■サブプライム
さあ、話は海をこえてサブプライムショック。マヤ暦とユングには食指を動かす自称DJだって、おそらく名前くらいは知っているはずだ。その衝撃はまたたくまに世界中に波及したけど、その発端になったサブプライムローン(信用格付が低い人向けのローン)で家を買い、んで一夜にしてマイホームを喪失した貧しい人々は、夢のようなローンの裏側で何が行われていたのか露も知らなかった。
つまりリスクヘッジのためにバラバラに証券化され、ウォール街の天才たちが編みだした数々の創造的金融商品とやらに組み込まれ、世界中で売りさばかれ、膨大な運用益を上げていたことなんか、知る由もなかった。まあ結果論でしかないけど、住宅価格が上がりつづけるという妄信とともに、彼らは食い物にされたと言ってもいい。
じゃあサブプライムを理解するために、もう少し別のものを見てみよう。
■先物市場とリスク
まず先物市場。きっと自称DJは興味ないんだろうなー、ぼくもないけど。でも現象としてはすごい興味深い。例えば明日引き渡すジャガイモを今日売り買いできる市場がそれだ。
馬鈴薯だけじゃないよー、石油、鉄鋼、あ・り・と・あ・ら・ゆ・る・ものだ。そして「明日」だけじゃない、あさってでも、しあさってでも、1年後でも、10年後でも、原則的に未来永劫だ。取り引きが成立する限り。そこには輪廻転生でも、永劫回帰でもなんでもいいけど、我々人類の市場は無限に広がりつづけ存在する、という驚きの前提がある。で、先物って何のためかというと、リスクを分散するためだ。すごくないですか? すごくない? うーん。
じゃあ、リスクについて。リスクの誕生がいつなのか正確にわからないけど、86年にウルリヒ・ベックが『危険社会』(法政大学出版)というぶっとい本を書いている。法政の社会学部なら読まされるかもしれないメルクマール(のはず)。ともあれ80年代半ばごろから「危険」ではなく、管理されるべき危険=「リスク」という概念が誕生してきた。そんで徐々にそのリスクすらも商品となっていった。そう保険という名に姿を変え。
保険もジャガイモと同じで、あ・り・と・あ・ら・ゆ・る・ものに存在する。というか、原則としてすべてのリスクに保険はかけられる。保険の保険だってあります。だから保険屋はリスクの発掘には余念がない。これらを支えるのが金融工学という最新テクノロジーなんだけど、ここでは複雑すぎて手に終えない。だからさわりだけ。
■デリバティブ
今世紀の頭、まだ店もやってなくて、お肌の保水力も高かったころ、大学じゃほとんど習わなかった「デリバティブ」という謎の商法が出現しはじめた。とくにそのうちの1つであるリート(不動産投資信託)という商品が、ついに日本にも上陸!と話題になっていた。単純化すると、たくさんの人からお金を集めて不動産に投資・運用し、利益を山分けする方法だ。もちろんこれもリスク分散のためだ。昨今の東京での土地開発の一部は、こういう手法で行われている。
当時はまだITバブルがイケイケのころで、あるIT社長(もちろんシャツにネクタイしないニュースタイル)を取材をしたとき「J-REITというレバレッジ効果を活用してまして……」という話を延々され、あー世界はこれから複雑になっていくなあ、とぐるぐるペンを回して今夜のおかずを考えていたんだけど、時は過ぎ、器だ雑貨だといってシンプル族に肩入れしているひまに、サブプライムショックが起きて、たった10年くらいで世界はチョー複雑になっていたことを知った。
もうリートなんて序の口、FX(読者でやっている人もいるはず。為替です)や401Kと呼ばれる確定拠出年金(あなたの親も利用してる可能性大)、安全安全と連呼しまくるインデックス・ファンドの群れ、米国発の神がかった住宅ローンの数々……、ほんとおびただしい数のデリバティブ商品が生まれた。
なかでもサブプライムで救済されたAIGが売りまくってた「クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)」なんて全然意味わかんないもん(金融機関もみんなやってた企業の死亡保険みたいなものです)。何っすかあれ、誰考えたの!? あーあ、さすがのおれも旅にでてポエム詠んで格闘家かDJにでもなったろかなと思った瞬間です。うそです。
うん、頭の痛い話はこれぐらいにして、そろそろ終わります。
■おわりに
まあ対岸の火事だといえばそれまでだけど、あなたの給料が下がったり、派遣切りあったりする無慈悲な経済と無関係ではないことは確かだ。
でも関係性だけあって、けっして肌では感じない。煙も見えなければ、焦げた匂いだってしない。見えない場所で世界の総体はどんどん複雑になっていく。携帯電話は進化しつづけ、より身近で、なくてはならないものとなる。けど、そのハイテクな固まりの本質を、あなたの手は感じることはないだろう。哀れな静止衛星のように。これは生活感覚と、その生活を左右する環境が乖離していき、相対的に世界の表層は簡潔な世界に近づく、ということになる。
さあ、ここから先はご自身でお考えあれ。もちろん考えなくても、たぶん似た未来が待っているはずだ。世界は複雑なのか、シンプルなのか、この問いと同じ理由で。ではではまた。アディオス。
■参考文献
スティグリッツ『フリーフォール』(徳間書店)。創造的金融商品とやらにだまされ、サブプライムショックで家をうしなった貧しい人々の怒りを背負い、その恐ろしく複雑な世界を真摯に考え、そしてシンプルに教えてくれます。市場と民主主義に立脚してて、偏りもないっす(ほんとは店の名前に似ているから買っただけなんですが)。
三品輝起(みしなてるおき)
79年生まれ、愛媛県出身。05年より西荻窪にて器と雑貨の店「FALL (フォール)」を経営。また経済誌、その他でライター業もしている。音楽活動では『PENGUIN CAFE ORCHESTRA -tribute-』(commmons × 333DISCS) などに参加。
●パリの街角から:We are the world♪
こんにちは、フルール ド クールの阿部桂太郎でございます。皆様、いかがお過ごしでしょうか。
さて今回は、パリの子ども達についてお話したいと思います。
先日、2歳になる娘と一緒に、おもちゃのカタログを見ていた時のこと。
小さなお人形がたくさん並んでいるページで、「おやっ?」と思うことがありました。
そこには、アフリカの家族、南アメリカの家族、アジアの家族、ヨーロッパの家族…と、世界の4つの地域のお人形の家族が載っていて、それぞれに肌の色や髪の色などが異なっていたからです。
なお、いずれの家族も、お父さん、お母さん、子ども2人の4人家族。
アフリカの家族は肌が濃い茶色で髪は黒く、目はキョロリとしていて、黒目と白目がはっきりと描かれています。
また、南アメリカの家族は肌も髪も茶色で、目はまん丸。
アジアの家族は肌色の肌に黒い髪、目は三日月のように細く描かれています。
そしてお父さんの首には、何故か大きなカメラがぶら下がっていて…。
ヨーロッパの家族も肌は肌色。ただし、お父さんと男の子は茶色い髪で、お母さんと女の子は金髪です。また4人とも、お目めはパッチリ。
ここパリには、さまざまな人種や生い立ちの人が暮らしていますので、子どものおもちゃと言えども、これが自然なのかも知れません。
ところで私は、毎日、娘を託児所まで送り迎えしていますが、そのたびに、託児所に集まって来る子ども達を見て、驚いています。
何故ならば、先ほどのお人形と同様、肌の色も、髪の色も、そして目の大きさも、実にさまざまだからです。
また話す言葉も、フランス語を初め、英語、イタリア語、スペイン語、日本語など、各家庭の環境によって異なります。
さらに、ものごとの受け止め方や表現方法も異なっているようです。
パリの子ども達に絵を描かせたら、瞳を黒く塗る子もいれば青く塗る子もいる…。赤い太陽を描く子もいれば黄色い太陽を描く子もいる…(フランスでは一般に、太陽は黄色というイメージがあるようです)。7色の虹もあれば、6色の虹も、5色の虹もある…(虹の色の数は、国や地域によってとらえ方が異なるのだそうです)。
もちろんこのような光景はパリに限ったことではないと思いますが、しかし、いまから40年以上も前に新潟の田舎で生まれ育った私くしとしては、自分が子どもだった頃のことと、目の前の光景とを照らし合わせて、あらためて驚いてしまうのです。
またそんな環境の中で、一緒に遊んだり、喧嘩したりしている子ども達の姿を見ていると、何だかとても頼もしく思うのです。
そして彼らが、この先どんなふうに育っていってくれるのか、また、次の世界をどんなふうに造っていってくれるのかと思うと、いまからとても楽しみなのです。
以上今回は、パリの子ども達について、少しだけお話をいたしました。
阿部桂太郎
1965年8月22日生まれ。新潟県小千谷市出身。2003年よりフランス、パリ在住。インターネットショップ「フルール ド クール」を営む。好きなことは、旅をすること、食べること、温泉に入ること。
● naomi & goro
二月に新宿の無印でottavaさんのイベントに参加させて頂きました。
久々にゲレンさんにお会いしました。
四月末には韓国ソウルでのライブがあります。
私は韓国は五回目なんです。
韓国語をマスターしなければいけないですね。
写真は去年の韓国でのグランドミントフェスティバルにて。
(2010/5/1 naomi)