333DISCS PRESS

●チナボンボンブック

こんにちは!チナボンこと正山千夏です。もうすぐ春♪新生活がはじまる方も、そうでない方も、気分一新で毎日をすごすのっていいですよね。そんな女性のみなさまにオススメの本を今月はご紹介したいと思います。

■廣瀬裕子「まいにちできること 気持ちいい暮らしをつづけるための50の方法」

新生活を機会に、もっと気持ちのいい暮らしをしてみませんか? 便利であることも大切ですが、コマーシャルに刷り込まれている便利さを一度取り払って、こんな本で毎日の暮らしを見直してみると、意外な心地よさに出合ったりします。

エコバッグやマイボトルを持ちましょうからはじまり、例えば生長の早い竹素材の方が、石油からできているプラスティック製品を使うより環境によいなど、知っていれば簡単に実行できることばかり。この中で私が個人的にすごくいい!と思ったことをひとつご紹介。それは布ナプキン。

最近では色々なお店やインターネットなどで販売されているのを見かけるようになりました。とにかくこれが気持ちいいのです!そしてもちろん布なので洗濯して繰り返し使え、ゴミも出ません。今の布ナプキンはとても高性能にできていて、ほとんど紙ナプキンと同じ感覚で使用できるものも。また色やデザインも豊富で思わずコレクションしたくなってしまいます。不安な日はこれまで通り紙ナプキンで、軽い日から始めてみるのがオススメです。

“エコな暮らし”はブームで終わったとしても、“気持ちのいい暮らし”は自然とずっと続けていきたいと思うものですよね。

■田口ランディ「クレンズの魔法 母たちが娘に伝えてきた秘伝の幸福書」

お母さんと最近じっくり話をしましたか?

ランディさん(は、女性です!)が、ご自分の娘さんはじめ、すべての娘である女性に向けたこの本。

母の目で、世界という大海に乗り出す娘におくる、ちょっと哲学的で、そしてとても正直な、心温まるアドバイスの数々。自分がこの世に祝福されて生まれてきたのだと感じずにはいられない、なんだか安心する本です。もちろん娘さんをお持ちのお母さんたちにもよいかもしれませんね。

クレンズとは汚れを落とすこと。心も窓ガラスと同じで、掃除をしなければ曇ってしまいます。お肌もお部屋もそうですが、心のクレンズは女性としてのみだしなみでもあり、世界を見通しよくする最強の魔法なのだとランディさんは伝授します。

私のお気に入りは「わかちあい ?大人になっても悩むことばかりです」というタイトルのついた第4章。悩み多き大人のための処世術が、子どもにもわかるようにシンプルに語られています。ここは「禅」の考え方にも近いかもしれません。

私も母とは改まってこういった話はしないですが、何も言わないけれど母もきっと人生の先輩としてこんなふうに思ってくれているんだろうなーと思うのでした。

 

チナボン

バンドsugar plantのヴォーカル&ベース、正山千夏のソロユニット。2005年伊藤ゴロー氏のプロデュースで「in the garden」(333DISCS)をリリース。1994年詩集「忘却セッケン」で第10回早稲田文学新人賞受賞。
http://blog.livedoor.jp/cinnabom/

●西荻の街角から〜トウキョウエコノミー:さよなら本たち

本読んでますか? 今回は本にまつわる話をしたい、書店とか、本の伝道師とか、教養とかそういう。

■はじめに

まず関係ない話から。世の中、なんで本読むんすか?という人も多いと思う。うーんそりゃ楽しいからだけど、それだけじゃない。ということになっている。現国の先生を筆頭に大人たちから(たいして読んでない人も含め)、教養をつける最良の近道なんだと教えられる、じゃあ教養つけて何かいいことあるか、といえば、知的労働につく人にとっては必要不可欠だから「ある」ともいえるけれど、みんなつくわけじゃないし、根本的に必要かどうかはあやしい。むしろ下手な教養でいろんなことを失うケースだってある。

中学で川上未映子や平野啓一郎あたりを読んで学校の友達と話があわなくなり、ニーチェやマルクスを無理して読んで無垢な人柄を完全喪失、クンデラやフロイトを恋愛に生かそうとしてレディに逃げられ、みつをや326を音読して俺を憤慨、あげく太宰や三島にはまって命を……とまあいろんなものを失う、可能性もあるのだ。

さて冗談はここまで。実は経済学でも、経済を成長させるために必要な生産性と知識の共有の相関については研究されている、あと暗黙知とか創発とかコモンズの議論とか。また頭のよしあしは読書より遺伝の相関の方が高い、という(ちょっと悲しい)報告もある一方、脳の発達と読字の研究が脳科学で猛スピードで進んでたりする。でも、それらはすべて社会全体で見れば、というマクロな話で、本読んだから人生いいことあったか、という答えを個人で実感し判断するこは不可能だろう。本っつったっていろいろあるし。

■本の業界

つづいてもまじめな話。永江朗さんの『本の現場』(ポット出版)によれば「この30年で出版点数は4倍になったが、いっぽう1点あたりの販売金額は半分になった」。97年を境に出版業界の売上減少は留まることなくつづき、それでもなお1日平均200冊という驚くべき数の新刊が出されるという状況。ネットやなんやで本離れが進んでんのに、というかそれ故に、出版社は小ロットで数を打ちまくるという悪循環がある。

たしかに店頭には数時間で読み終えて捨ててしまうような雑誌(いま読んでる『週刊ダイヤモンド』の新春号は1週間たっても読み終わりませんよ)、ベストセラーの三番煎じ、四番煎じが溢れかえっている、外身だけオシャレーにパッケージングしたりして。売上減少の原因は複合的だけど(楽しいこといろいろ増えたしね)、まあ質の低下に関しては出版流通の世界における2つの制度に求められる。

(1)清算を先にして返品ぶんを払い戻す特殊な「委託性」
(2)値下げという市場メカニズムを無効化する「再販制」

詳しくは本書をお読みいただきたいが、永江氏は、出版社は返品を上回る少部数の新刊発行を続けることで資金繰りをしている、と指摘する。「資金繰り」ってとこが真骨頂っす。そりゃ出せばとりあえず書店は買ってくれるわけだから、返品するころにまた出せばいい、という。まあ、現状はこんな感じということで暗い話はここまで。

■本の伝道師

本離れが進めば「本ってええもんよ」と説く者があらわれるのが受給のバランスというもの。だから本の伝道師みたいなのがいろいろいる。ブルータスでも対談してたけど、編集工学研究所所長・松岡正剛(まつおかせいごう・注1)さんとか、バッハ代表・幅允孝(はばよしたか・注2)さんなんかがよくメディアにでてる。前者を硬派伝道師としてするなら、後者はもう少し敷居の低い軟派な伝道師か。

あと硬派系だと立花隆さんなんかが有名だし、軟派系なら齋藤孝さんとかいる。

ともかく社会が複雑化し、不況もつづき日本のトレンドもダダすべりしていく不安な昨今。退職後の団塊世代などを中心に、知的好奇心が芽生えてくるのは当然のなりゆきだと思う。『思想地図』も売れてるみたいだし、教養本のたぐいが多いのもそのせいだろう。雑誌でもやたら本特集が目につく。しかし知識の積み上げを、インターネットを閲覧するようにてっとり早く行うことは無理ですよー。

幅氏を「軟派」と書いたけど、これは本離れしてる若者たちから広く支持されているという意味で、他意はない。活動をつぶさに見てると、いかに本離れしたした人に本の良さを伝えるかを、パフォーマティブにやっている印象だ。若者と本をつなぐ目的のためには、未開のあらゆる回路、文脈を使う(よって本を読む=オシャレみたいな意味付けも、いとわない)、というかなりの知略家でもある。

ぼくのなかでは、一番本読まない系の人(あとマセた中学生)に読書を指南してるのはヴィレッジヴァンガードちゃうかしらん、と思っている(あとジャズ聴かない系にブルーノートコンピを売りまわっているのも)。で、そこにそぐわない(あのサブカルぶりが嫌な)種族の人たちが幅さん需要なんじゃないか。そのへんを卒業して、つまりちょい読む系になったら、硬派な伝道師たちに進む、みたいな。まあそんな階段がある気がする。

■おわりに

『ぼくらの頭脳の鍛え方』(文春新書)というマッチョな題の新書が売れている、そのなかで立花隆さんは教養を「人類の知的遺産」と呼び、「教養教育とか、知的遺産の財産目録を教えることになります。しかし、いかにしてその全体像を教えるか」と悩んでおられる。まあ答えは、黙って(ネットじゃなくて)本を読め!ということらしいのだが(当面、読書の優位性はつづくらしい)、彼は教養と知識をわけて考えていて、全体像というか見取り図を教養、そのうえに専門の知識がのっかる必要を説いている。

これはスペシャリストvsジェネラリストという古典的な問題でもあるんだけど、うーんこれパンピーにどこまで関係あるんだろう?

お茶の間では『坂の上の雲』とか『竜馬がゆく』が流行ってて(本しか読んだことないです)、自分と重ねたりしてるかもしれない。子規や竜馬にとっての教養と、そのうえに乗っかる専門の知識は、そのまま彼らが成し遂げたことと結びついている、だからって誰でも知識が役立つポジションにいられるわけじゃない。また「地頭」と言ってしまうと身も蓋もないけど、維新や明治政府を支えた人々がいかに特殊な能力をもった人たち(というか脳味噌たち、というか秀才)だったか、という点はだいじ。

だいじ、つながりで言えば、ぼくの持論はこう。だいじなことは自由な考えを求めることだ。かつては読書しなくたって自由に物事を考えられる人はいっぱいいたはずだ(一つのことを極めた謙虚な人々のように)。

でも情報が蔓延し錯綜している都市では、一見自由な振る舞いの多くが外因によって決定されている、という可能性に疑問すら感じなくなっている。そして毎日が祭となった。そんな都市生活者には読書が役立つんじゃないか。自分を形作る外因を掻きわけ、なるべく自由に考えられる足場を確保するために。その教養という足場を作った上で、各々の目的のために読書すればいい(というかやめてもいい)、創作のためでも婚活のためでもマネーゲームの超克のためでも何でもいい、だれかのように、過去に戻るためだけに頁をめくったっていいのだ。

最後にセイゴー氏のありがてえ御言葉あげます。「本には人類のあらゆる英知と行為が、また人々の欲望と消費のすべてが折りたたまれています。読書を一過性の体験から開放し、読書をする社会を拡張していくには、ブックウェアともいうべき本をめぐる生態系のようなしくみから考える必要があります」。ではでは、よい読書を!

■リンク

注1:セイゴー先生が丸善と組んでつくった本屋に「松丸本舗」がある。本気の本好きも楽しめると思うのだけれど。
http://www.matsumaru-hompo.jp/

注2:BACH(幅允孝)。六本木のツタヤとか、SHIBUYA PUBLISHING BOOKSELLERS(渋谷・神山町)とかで本棚を監修、というか本棚を通じて店をディレクションしてる。スタバで買ったばかりの本がそく読めるとか(ポンギ)、ガラス張りで本を編集してる風景が見れる(渋谷)とか、iPodと同じで容れ物をかえことで、本と人の関係性が変わり、ひいては本を読むきっかけにつながる(のかな)。そのへんもヴィレヴァンと同じ構造。松丸本舗より敷居が低くてオシャレーですので若者向け。
http://www.bach-inc.com/

 

三品輝起(みしなてるおき)

79年生まれ、愛媛県出身。05年より西荻窪にて器と雑貨の店「FALL (フォール)」を経営。また経済誌、その他でライター業もしている。音楽活動では『PENGUIN CAFE ORCHESTRA -tribute-』(commmons × 333DISCS) などに参加。

●パリの街角から

 

こんにちは、フルール ド クールの阿部桂太郎でございます。皆様、いかがお過ごしでしょうか。今回から、333DISCS PRESSにおいて「パリの街角から」のコーナーを担当させていただくことになりました。どうぞよろしくお願いいたします。

 

 

 

 

我が家のクリスマスツリー

さてその初回は、ちょっと季節はずれになりますが、クリスマスツリーについてのお話です。今日は、パリのクリスマスツリーについて、ちょっと驚いたことを2つご紹介します。

1つめは、各家庭に飾るクリスマスツリーが、生のモミの木であるということです。ここパリでは、毎年クリスマスの時期が近づくと、街中のマルシェ(朝市)や花屋さんの店先に、大小さまざまな生の(本物の)モミの木が並びます。そして人々は、このモミの木を家に買って帰り、クリスマスツリーとして部屋に飾ります。

 

 

 

 

 

 

 

公園内に設けられたツリーの集積所

2つめは、11月の下旬や12月の上旬からツリーを飾り始めて、年が明けた1月の下旬まで飾ったままにしておくということです。日本ならお正月前にはツリーを片づけてしまうと思いますが、ここパリでは1ヶ月半から2ヶ月もの間、楽しむことになります。

なお、飾り終わったモミの木は、普段のゴミと一緒に捨てるか、または、公園などに臨時で設けられたツリー専用の集積場(リサイクル場)に持って行きます。

ちなみに我が家では、12月の上旬から1月の中旬までツリーを飾りましたが、狭い部屋の中では必要以上の存在感があり(時には邪魔に思うことも…)、また、不用意に近づくと枝にセーターが引っ掛かったりして、なかなか大変でした。さらに、時間の経過と共にパラパラと葉が落ちて、部屋のお掃除も容易ではありません。

 

 

 

 

 

 

 

 

集積所(リサイクル場)にツリーを持って来た親子

しかし、生のモミの木には何とも言えない雰囲気があり、また、子どもにも本物のツリーを見せてあげることができるという意味で、とても良いと思います。さらに、捨てる日が近づくと何だかちょっとなごり惜しくなってみたり、「長い間、楽しませてくれてありがとう…」なんて感謝の気持ちが湧いたりもします。

以上今回は、パリのクリスマスツリーについて、少しだけお話をいたしました。

 

 

 

 

 

阿部桂太郎

1965年8月22日生まれ。新潟県小千谷市出身。2003年よりフランス、パリ在住。インターネットショップ「フルール ド クール」を営む。好きなことは、旅をすること、食べること、温泉に入ること。

● naomi & goro クリスマスライブ

2009のクリスマスライブ。一番印象的だったのは、ピエニトットのみなとちゃんとのイベントでした。おととし一緒に南仏でクリスマスをお祝いしたのですが、去年のライブはたまたまサンニコラの日でまたまた一緒にお祝いできました。(naomi)

写真:左上/サンニコラの日 左下/くるみの木にて

 

naomi & goroでくるみの木と、こめのきクリニックライブに行ってきました。くるみの木はいつ行っても落ち着きます。

1月は富山と金沢に行きました。魚がうまい、すしもうまい。北陸いいです!夏にはまた富山にいくかも?!(goro)

写真:右上/こめのきひがしクリニックにて 右下/金沢にて

 

(2010/2/1 naomi & goro)

● tico moon 近況

昨年の11月〜12月は、初めましてのところ、お久しぶりのところ、本当にたくさんの場所で演奏させていただきました。

七尾のkinacoさん、自由が丘のcafeイカニカさん、東京メトロ銀座のオアシスさん、そしてつつじヶ丘の手紙舎&ヒバリさん。初めての場所での演奏はいつも大きな期待と少しの不安でドキドキしますが、本当にたくさんのお客様に聴いていただけて、少しの不安はあっという間に吹き飛び、どの会場でもとても楽しい時間を過ごさせていただく事ができました。ご来場いただいたお客様、そして会場の皆様、本当にありがとうございました!

そしてお久しぶりの湘南海岸ゆるりとさん、モーションブルーヨコハマさん、名古屋TAiGAさん、京都shin-biさん、大阪ロカリテさん、目黒ドロールさん、下北沢leteさん、いつも安心して演奏させていただきありがとうございます。

写真:上/七尾のkinacoさん 下/目黒のドロールさん

 

 

 

 

ライブでの一番の楽しみは、お客様やお店の方などたくさんの方々や素敵な場所と出会える事です。今回のライブでもたくさんの嬉しい出会い、そしてちょっと切ないお別れもあり、何とも言えない気持ちがこみ上げてくる事が何度もありました。今年もこの気持を大切にしながら、また新たな出会いを楽しみにしています!

写真:大阪のロカリテさん

(2010/2/1 tico moon)