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●待ち合わせによく利用するカフェはありますか?
【naomi】今まではメニューや雰囲気重視だったのに、最近ではソファ重視になりました。近場の駅のエクセルシオールに頻発に出入りしてます。
【goro】あまり人と待ち合わせしませんが、打ち合わせだとスパイラルのカフェかな。
【tico moon影山敏彦】下北沢のkate coffee。自由に閲覧できる本が沢山あるので、待ち時間を持て余す事もありません。
【tico moon吉野友加】待ち合わせだけではなく、週に一度はサンマルクカフェに行きます。焼きたてのパン、特にチョコレートの入ったクロワッサン「チョコクロ」が大好きです。
【甲斐みのり】昨年末、『東京でお酒を飲むならば』という本を出したのですが、その中で、新宿で待ち合わせするのにいいお店について書きました。やっぱり、新宿東口の地下改札を出てすぐのところにある「BERG!」は待ち合わせの定番です。コーヒーを飲む人、お酒を飲む人が、同じ空間で同じような何気ない顔つきで、ひとりで過ごしていたりして。(朝からなにくわぬ顔でお酒を飲んでいる人もいます)モーニング、ランチ、コーヒー、お酒、デザート、おつまみ、軽食、メニューの抱負さもありますが、訪れた人がそこでどんなふうに過ごすか、普通の喫茶店やバーよりもずっと自由な雰囲気を好ましく感じます。立ち飲み席とテーブル席が、半々ほどなので、さっと食べて飲んだり、待ち合わせするのに本当に便利です。
【葉田いづみ】青山のNUMBER Aというカフェがなかなかでした。お茶だけでもいいし、夜だったらお酒をたのしみつつしっかりご飯も頂けます。
【阿部桂太郎】パリの5区、パンテオン(Pantheon)の裏通りにある、カフェ ド ラ ヌーヴェル メリー(cafe de la nouvelle mairie)。このカフェの斜向いに住んでいたこともあり、よくお邪魔しました。いかにもパリらしい雰囲気の静かなカフェです。
【三品輝起】西荻窪の喫茶店「それいゆ」。老若男女が集い「実家感(わたくしの造語)」にあふれイケメン店員も常駐してて足穂の本もあって……みたいな喫茶はなかなかないと思う。
【青芝和行】最近見つけたのでまだ待ち合わせに使ったことはないんですが、町田の宮越屋珈琲店を。もともと札幌が発祥でチェーン展開してるそうです。コーヒーが美味しいのはもちろんなんですが、JAZZ喫茶ばりの高級オーディオでモダンジャズが流れているのが売りみたいです。誰も熱心には聴いてなさそうなんですけどね。早く待ち合わせに使いたい!
【岩崎一絵】渋谷マークシティ、アフタヌーンティのカウンターコーナー。チャイがあります。落ち着く雰囲気ではありませんが、店外の通路の席なら大抵座れるので、ちょっと時間を潰すのに向いています。
【伊藤葉子】美味しいものを食べに、ならば素敵なカフェが沢山あるのですが、仕事で待ち合わせとなると、パソコンも使うし、出来るだけすいてるところが良いのでついついデパートに行ってしまいます。新宿伊勢丹の地下2階のスターバックス(すいてるから)、渋谷東急本店屋上のヴェルデステ(ハーブティーにラスクがついてきます)座席はとても少ないですが、ひとけも少ない、とか。どちらも駅から遠いので、渋谷、新宿の駅徒歩4、5分で良いところがあれば是非教えて下さい!
そういえば・・・ゴローに教えてもらった吉祥寺の喫茶店「シェモア」CHEZ MOIは穴場です。JR吉祥寺南口からマルイにむかい、マルイの左側の通りの左側。L.L.BEANのすぐそばです。飲み物、食べ物、雰囲気に全くこだわらなければ、絶対座れます。店内に招き猫が沢山、水槽というか、池がある。カメがいたような。。あれだけ立地の良いところなのに大変もったいない。なんとか良い感じになってほしいです。
●2~4月おすすめのイベントは?
【伊藤葉子】naomi & goroはレコーディング期間、tico moonはライブにいくつか伺えると思います。また、ゴローも4月リリースのソロアルバムにむけて色々と予定が入ってくると思いますが、3/3(土)に地元国立市のアグレアブルさんで、ダン・ラ・ナチュールさん初の書籍『ももの木 なしの木 りんごの木』(mille books刊)発売を記念し、伊藤ゴローがあんざい果樹園の安斎伸也さん、ダン・ラ・ナチュールの千葉奈津絵さんとのトークイベントに出演いたします。演奏も予定しておりますのでぜひお越しください。
【tico moon影山敏彦】もう少し先になりますが、5月22日のスカイツリーのグランドオープンが楽しみです。高所恐怖症の割に展望台に上ることが大好きなので、上れる日を楽しみにしています。
【tico moon吉野友加】暖かくなったころ、少し長めの散歩しながら桜を楽しむ。そんなお花見がオススメです。
私のコーナーは1階の特設会場となります。4階には手紙舎さんのshopもあるので、是非会わせてお立ち寄りいただければ幸いです。
【葉田いづみ】楽しみな映画がいくつかあります。ヴェンダースによるピナ・バウシュのドキュメンタリー『PINA』、マイク・ミルズ監督の『人生はビギナーズ』。
【阿部桂太郎】春の訪れ、そのもの。長くて暗い冬が終わり、日に日に昼間の時間が長くなるこの季節は、パリの街に生きる者にとって本当に嬉しいもの。街路樹の葉が芽吹く頃の清々しい空気には幸せすら感じます。
【三品輝起】FALLの上階に「toki」という西荻一文化的なすばらしいカフェがあるのですが(1月は黒沢清監督のトークイベントがありました)、2月のイベント「映画『ニーチェの馬』公開記念トークセッション」になぜか安齋肇さんがでます!
●パリの街角から
水の都、アヌシー
こんにちは、フルール ド クールの阿部桂太郎でございます。
皆様、いかがお過ごしでしょうか。
昨年のクリスマス休暇に、フランスとスイスとの国境近くにある、アヌシー(Annecy)の町に行ってきました。
何か目的があったわけではないのですが、小さな子どもと一緒でも出かけやすく、また、大自然の中でのんびり過ごしたいと思ったからです。
なお、アヌシーという町の名前は、日本にお住いの方々にはあまり馴染みがないかも知れません。
しかし、1992年の冬季オリンピックの開催地アルベールビルや、スイスのレマン湖畔にあるジュネーヴの近くと言えば、何となく、その美しい町の様子を想像していただけるのではないでしょうか。
アヌシーの人口は約5万人。ヨーロッパで最も透明度が高いといわれるアヌシー湖のほとりにあります。
また、湖の周りにはフレンチ アルプスの山々が連なり、そこに降った雨や雪が清流となってアヌシー湖に注ぎます。
さらにその湖水はアヌシーの町の中にも引き込まれ、清らかな流れと心地良い音となって、訪れた人々を楽しませてくれます。
これが、水の都アヌシーと呼ばれる所以(ゆえん)です。
なお、アヌシーの旧市街地は約2キロ四方。決して大きいとは言えません。
しかし逆に言えば、のんびりとお散歩を楽しむのにはちょうど良い大きさ。細い路地が縦横に伸び、その中を清らかな水が流れるその様は、本当に美しいものです。
さらにアヌシー湖のほとりには、タロワール(Talloires)やデュアン(Duingt)などの小さな村々も点在しています。
私くしが訪ねた時には季節外れでひっそりと静まり返っていましたが、まるでどこかの観光局のポスターのように美しい風景が広がっていました。
皆さまも機会がございましたら、是非、水の都アヌシーやその周りに点在する美しい村々を訪ねてみてください。
・アヌシー湖の観光サイト
http://www.lac-annecy.com/
今回は、フランスの水の都、アヌシーについて、少しだけお話をいたしました。
・写真01(左上) アヌシーの旧市街地。町のあちらこちらに清らかな水が流れる。
・写真 02(右上) 湖畔の村、デュアンにて。セザンヌが描いた古城がいまも佇む。
・写真 03(左下) アヌシー湖の白鳥。透き通った水面を気持ち良さそうに泳ぐ。
・写真 04(右下) アヌシー湖、冬の夕暮れ。すべての音が吸い込まれたような静けさ。
阿部桂太郎
1965年8月22日生まれ。新潟県小千谷市出身。2003年よりフランス、パリ在住。インターネットショップ「フルール ド クール」を営む。好きなことは、旅をすること、食べること、温泉に入ること。
●国立の街角から
「一橋大学」
真冬に一橋大学の前を通ると、ひと際ひんやりした空気が流れてくるような気がする。最近知ったのだが、敷地内に武蔵野の原生林を残しているというのも納得だ。ひょっこりタヌキの親子が出てきたことも。
キャンパスに足を踏み入れると、ふっと懐かしいような気持ちになる。古いレンガ造りの校舎は、私が通った大学とどこか似ている雰囲気があるかもしれない。天気のよい日は子どもたちの遊び場になったり、近所の人が散歩している姿もよく見られる。こういうところは、都心の大学には見られない光景だと思う。
写真は、築地本願寺や湯島聖堂などを手がけた伊東忠太設計の兼松講堂(1927年)。
●西荻の街角から〜トウキョウエコノミー
世界に一つだけじゃないサウダーヂ
文責:三品輝起
年始なので心をいれかえてまじめに(なのでBGMは「世界に一つだけの花」でお願いします)。
(……もーともーととーくべーつなオンリーワン……)
去年もっとも印象に残った映画の1つに、富田克也監督の『サウダーヂ』というのがある。舞台は日本中にある空洞化した不景気な地方都市……ショッピングモール、パチンコ店、駅前商店街のシャッター通り、ゴーストタウン化した歓楽街。まあ旅行するたびに出会う、判で押したようなの風景だ。
そして、その街に生き、ばらばらにほどけてしまった者たち……失業者、悪徳業者、介護老人、過酷な肉体労働者、ヒップホップを歌う若者、ラブアンドピースな若者、東京帰りの若者、冷笑する若者、インターネット上の極端に国粋的な若者、ブラジル人やタイ人といった外国人労働者、彼らのコミュニティと地元民との軋轢。
そのすべてが混在した剥きだしの社会を、上映時間3時間という壮大なエンターテイメントとしてまとめあげている。とりわけ出口のない移民問題をこれほどおもしろく、リアルに描ける監督は他にいないだろう。
(……どーれもーみんなきーれいーだねー……)
移出民、移入民をあわせた移民問題というのは、グローバル化した世界において、すべての国が直面している課題である。植民地政策をとってきたヨーロッパの国々も戦後、おもに北アフリカをふくむイスラム圏からの移民が増え、排斥と暴動、そして開かれた対話をいくどとなく繰り返し、いまなお努力している。
それにくらべ日本は、先進国でもっとも移民政策が遅れている国であることは言を俟たない。現在、日本における外国人登録者数は約200万人、そのうちいわゆる外国人労働者は100万人だ。
要約して書くと、政府の(そしてみなが暗黙に了解している)方針はこうだ。正規のルートでは、単純労働者の流入はおさえて、知的労働者の入国だけを望んでいる。よって不法労働者に対してはかなり厳格な基準で取り締まっている。
とはいえ一部の製造業や農業において、もはや低賃金の単純労働者なしでは経済が回らない構造があるのはあきらかなので、別のルート(外国人研修制度や、90年の入管法の改正による、日系3世とその家族の定住をうながす措置など)で調整を進めている……といった具合だ。
(……いっしょーけんめーになればいい……)
去年の下半期は、震災と原発事故後というタイミングもあり、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の議論がすごーく白熱してた。我々の社会は、変わらなければならないという焦りと、このまま変わらずにいたいという心性の狭間で、不安定に揺れていた(と記憶しているけど、あれ? だいぶ忘れちゃったなあ)。
移民の問題はどうだろう。文化摩擦や不就学の増加など、社会の分断が忍びよってるのに、もはや彼らなしに立ちゆかない現状があるのに、日本人の多くは見てみぬフリをしてるように思える。でも。こりゃTPPなんかより何倍も何倍も難しい問題だ。
長らく同質性をベースとしてきた社会のなかで、伝統や文化の維持をふくむローカリズムの流れと、職を求める人々が豊かな国の境界線を自由にめざす流れは両立するのだろうか? するとすれば、どんな形だろう。ぼくは彼らと、どんなサウダージが共有できるだろう。
(……そーさーぼくーらもー……)
BGMうるさいよ! ……まあ言いたかったことは、本作がそんな頭の痛い連立方程式に、フタをしないための強力な案内人となるんじゃないかな、ってことだ。けっこう笑えますし。うーん、いつもとくらべてまじめすぎたような……ではではチョークディー!
三品輝起(みしなてるおき)
79年生まれ、愛媛県出身。05年より西荻窪にて器と雑貨の店FALL (フォール)を経営。また経済誌、その他でライター業もしている。音楽活動では『PENGUIN CAFE ORCHESTRA -tribute-』(commmons × 333DISCS) などに参加。2011年7月、アルバム『LONG DAY』(Loule)を発表。